イッシュ地方短期留学 ③渡航素材の生成
前回のあらすじ
イッシュ留学を司るオーキド博士と出会いを果たし、あとは実現に向けて動いていくだけとなった。OB・OG・博士ともに、「イッシュ留学は申請から既に始まっている」と言う。その意味を身をもって知ることとなる。
大学が提供するプログラムであり、本来は審査の上選抜されるものなので、当然それなりの提出物を求められるとのこと。
蓋をあけたらソシャゲも真っ青な素材集めゲーであった。
イッシュ渡航必要素材一覧 赤字がきつい
- 職場の許可
- CV (英文職務経歴書)
- Recommendation letter （英文推薦書）2通
- Essay（エッセー、英文志望動機書）
- 英語力の証明書
- 大学卒業/成績証明書
以下、赤字について解説をする。
1. 職場の許可
まずはこれから着手した。社内の資料を漁ると、どうやらそのような制度があり、ノンディグリー（MBAなどの修士ではない普通の留学）でも留学による休職を認めてもらえるらしい。
ただし部署で前例がなく、上長を通じて一から人事と相談となった。私は転職してから良い成績であったし、英語案件を回せる戦力になれていたことが手伝い、休職を認めてもらえた。ありがとう弊社。
2. CV (英文職務経歴書)
外資転職したものの、私のポジションに英語の履歴書は不要であった。
いつかこれを書く日がくるとは思っていたが、随分早く来てしまったのだ。
CV（英文履歴書）は、ラテン語で「人生の行路」を意味する curriculum vitae（カリキュラム・ビタエ）を略したもので、あなたの職歴や学歴を詳細に記した文章です。一般的にCVには、職務経験、業績や受賞歴、獲得した奨学金や助成金、修得したカリキュラム、研究プロジェクト、出版物などの情報が含まれます。海外大学や大学院の職員や外資系企業に応募する際に、CVの提出を求められることがあります。
引用: https://jp.indeed.com/career-advice/resumes-cover-letters/what-is-a-cvhttps://jp.indeed.com/career-advice/resumes-cover-letters/what-is-a-cv
まじでこれになった
これについてはネイティブの同僚や知人に大いに助けて頂いた。（本当にありがとう）
曰く、日本の職務経歴書ではクソダサで、CVには各自スタイリッシュなフォーマットを使うのがふつうらしい。勧められるがままに、海外の履歴書作成サイト「KickResume」に課金した。
英語なので当然苦しいが、仕事で達成したことを挙げていけば良いので、後述のエッセーよりは早く仕上がった。これでも1ヶ月くらいはかかっている。
もし万が一英文履歴書が必要になったらご相談ください。全力でサポートします。
3. Recommendation letter （英文推薦書）2通
海外はリファレンス文化である。記載事項に嘘はないか、立つ鳥跡を濁さずにいたかをチェックするのだ。
外資系の採用でもリファレンスチェックと呼ばれる調査を、前職の上司などに行うことがしばしばある。当然私はそんなものなどせずに転職してきた。
これが噂のRefference・・・ぼくを推薦してくれる人間・・？英語の推薦書がかけるひとで・・・・・？二通・・・？？内容は・・・？どうやって頼むの・・？？
一通は外国人の上長にお願いした。最も一般的な頼み先である。私の業績について書かれており、感動した。偉くなった時に、きちっとした文章を書けないとみっともないのだとも思った。
悩みの種のもう一通は、大学時代の恩師であるゼミのS教授に頼んだ。
自ら書いた推薦状を提出すれば、チェックしてくれてサインをくれるらしい（本人を知っている人は分かる、あのノリ）
私の成長を喜び、応援してくれた。嬉しかった。ありがとうS先生。
私はこの作業を通じて、計り知れない格差を感じていた。
英語の推薦書を書ける肩書きと能力を備えた人間と知り合い、頼み事をできるまで関係性を構築している人生であることが要求される。誇張なしで相当難しいのではないか？
もし大学時代、ゼミに入っていなかったら？真面目に取り組まずやめていたら？卒論を書いていなかったら？先生と懇意にしていなかったら？あのとき父親に言われるがままに高卒だったら？ 外資や大企業に勤めていなければ・・・？そう考えると恐ろしい。
将来推薦書を書く側になりたいと思った。
4. Essay（エッセー、英文志望動機書）
海外大入試に必要な小論文。この文章で志望動機を中心に、人となりをアピールする。
本Applicationの肝であり、核であり、ラスボスである。
エッセー
日本でいう随筆とは異なり、限定されたテーマに関して自分の見解を記述する小論文。大学や大学院の入学の際には、Statement of Purpose(出願目的)をテーマに記述したEssayを提出する。また、学術論文をAcademic Essayと呼び、課題としてしばしば提出させられる。 出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について
これの提出が世界の常識であることなど私は知る由もなかった。
エッセーときたら連想するの、「随筆」か「さくらももこ」じゃないの？？
私は遅刻だらけで素行が悪く、教師におべっかを使えないため、内申は悪く入試系統は全てペーパーテストで突破してきた。AOや推薦入試で求められるであろう小論文を書いた経験が私にはなかった。
【お題】
Describe myself in one word: #1-3 あなたを一言で表すなら？ 3つ
Goal - My goal for the 5 weeks: #1-3 プログラム期間中の目標 3つ
Goal - My long term goal: #1-3 長期目標 3つ
Goal - My long term PERSONAL goal: #1-3 プライベートの長期目標 3つ
My greatest strengths: #1-3 強み 3つ
My most challenging weakness or liability: #1-3 弱点 3つ（ただし馬鹿正直には書けない）
My most notable achievement: #1-3 達成項目 3つ
Why do you want to participate? 志望動機
What do you have to offer to your fellow? 他の参加者に何を提供できるんですか？
What matters to you? あなたが大切にしていることは？
What's your favorite quote, and why? 座右の銘と理由（もちろん英語のもの）
書けない。
え、いや、これまで、家庭環境や前職から逃げるので精一杯でしたし……。てか高校も大学もゲームしかしてない・・・
長期目標！？しかも三つも！？ようやく人生軌道に乗り始めたばっかでそんなん考えたことあるわけが！！？それに加えて、人様に見せられるようなオシャレなプライベートの目標ってこと！？
てか、私の参加、他の人に何のメリットがあるん⁇⁇ww？？
あああああああ！！！！！！
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小さいときから将来の夢は適当に書く子どもだった。
長らく家を出ることが人生のゴールであった。
恋愛も結婚もしばらく考えたくない。家庭環境が悪かったので、幸せな家庭が一切想像できない。子育ての苦労や現実は弟の世話でよ〜く知っている。家を出て、やっと自分の人生を歩み始めたばかりなのに、当分子どもなんか欲しくない！！！世間一般の幸せ的な思想は常に私を苦しめていた。自分なりに大事にしていたつもりの人たちは、ライフステージの変化で疎遠になっていく。駆け上がるほどに自分と似た環境であった人間は少なくなり、傷のなめ合いもできない。
お金や諸条件を全て除外して、もしも何にでもなれるなら、私みたいな苦しい思いや遠回りを他の人にさせたくない。自分はたまたま生き延びてしまったしここまで来てしまった。かつてこんな人がいたらいいのにと願った、その人自身に自分がなりたい。
考えれば考えるほど、現在の仕事がやりたいことと全く結びつかない。その現実に直視すればするほど、今までなりふり構わずなんのために仕事してきたのか。ここでこのまま激務を続けて私は一体何になるというのか。上長のようになるのだろうか。と思うようになった。
未来と現在と過去がかみ合わず、意味を感じなくなっていた。
エッセイの筆が進まないまま期限だけが迫っていた。自分が抱えていた悩みに向き合わざるを得なくなったことで精神的に弱り、仕事もコケかける。会社へ3日くらい行けなくなり、またデパスが飲みたいと思ってメンクリへ行った。
成績がカクンと落ちて休んだことで、推薦書を書いてくれた外国人の事業部長に死ぬほど英語で怒られ、このままだと行かせられない、行きたいならRecovery Planと行かせるに値する理由があるかどうかプレゼンしろという。（外資っぽいよねこういうとこ）
元気ではない、数字を作れない私には価値がないのか？と最早生きてる意味すら分からなくなり、当時本気で病みすぎて現実逃避にひたすらエヴァンゲリオンを全部観ていたので、L.C.Lに還りたいと思っていた、笑
オーキド博士に最初「書けないです、おこられてピンチです、（メンタル）不調です、プレゼンしないといけなくなりました」と伝えたとき、温厚な博士が「へ〜、不調の状態を説明するのにプレゼンまで必要なんだ？ 」とキレていた。
私は全ての見栄を捨てて自分の弱さや悩み、どうしようもなさを説明した。
直属の上長にも生きてる意味がわからなくなりましたと正直に言った。
それぞれが真面目に考えてくれて、時間を取ってくれて、素晴らしい回答をくれた。
オーキド博士は真夜中まで添削に付き合ってくれた。感謝してもしきれない。この人の顔に泥を塗るわけにはいかない。
こうして色んな人に叱咤激励気付け指導添削をしてもらい、なんとか復活した。
私にとっては人格の再構成であった。この出来事以降、今の状態になっている。
全員、「まだ若いから」と許してくれた。全員が同じセリフで驚いた。
次はもうない。たぶん今後の人生でこれに類する失敗は二度と許されない。
できあがったエッセーを提出したのち、合格通知をもらった。
今やりたいことは将来変わるかもしれません。ドラえもんの開発がしたいとか明日には言い出しているかもしれません。
それでも自分の未来について他者にコミットする作業をしたことがあるかないかの差は極めて大きいと思いました。私は四半世紀以上生きてきて一度もこれをしたことがありませんでした。
以上、イッシュ地方短期留学準備編でした。
コロナで結局渡航できないんですけどね〜。
私の人生のターニングポイントになっていることは間違いないです。
